オープン・スピーカーズ・ミーティング

オープン・スピーカーズ・ミーティング

皆さんはあまり聞きなれない言葉でしょうが、依存症関連の当事者や支援者、家族などはよく聞く言葉でもあります。
今回は、一般の人たちでも入れる、依存症の自助グループのオープンなミーティングに参加してきました。
依存症のグループは全国にたくさんあり、毎日どこかでミーティングを実施しています。しかし、そのほとんどが当事者しか入れないクローズなミーティングになっています。

 

なぜクローズなのか?
それは話す内容をミーティングの場にしっかりと留めておくためですね。話される内容は決して生半可なものでもないし、クローズ(ちゃんと守られた環境)だからこそ話せる内容がそこでは語られます。
オープン・ミーティングでは基本的に言いっぱなし、聞きっぱなしが大原則。
誰かに話を止められることもしなければ、いっぱい話してもいいし、ちょっとだけでもいい。
依存症に至った過去の辛い経緯、今抱えている不安や依存してしまいたい気持ちなどなんでもいいので言葉にしてみるのがミーティングのいいところ。
安全にしゃべれる場所って大切ですよね。
ちなみに私は当事者ではないので発言することはできません。
50人ぐらいが入る会議室の前で自分の依存問題や心に感じることのありのままに話す当事者を見ているとたまに羨ましく思います。
おっと、話がそれましたね。

 

自助グループは組織ではないし、自分たちで運営している集まり。
つまり法的拘束力なんてないのです。
来ることを強制されることもないし、来たければ来ればいいし、行きたくなければ行かなくてもいい。
だからこそそこに集まる人たちは依存症に対して向き合う姿勢を持って集まっているのだなと思います。
でも、向き合う気持ちを持ってなかったとしても行っていいんですよね。
自助グループってそういうところ。
問題をひとりで抱え込むのではなく、自分の問題について話す場を自分達でつくっていく。自助グループが癒しの場であるといわれる理由が少しわかります。
聞いている人たちは反論するでもなく、途中で茶々を入れるでもなく、ただそこでしっかりと聞いてくれている。
それだけでもなにか癒されるものがあるのだなと肌で感じ取ることができました。
もちろん自助グループは組織ではないですからそこに通報義務等はありません。だからそこ違法薬物であったり、犯罪に結びついてしまった過去などもさらけ出せるのでしょう。
そういった意味でも、なんでも話せて受け止めてくれる場の存在は依存症者だけに限らず重要な居場所となってくると思います。

 

会場の雰囲気
多くのミーティングに参加してきた体験から、共通する雰囲気があります。
それは喫煙所です。
あの何とも言えない独特の空気感。
私も以前喫煙者だったので喫煙所独特の雰囲気は分かるつもりです。
しかし、依存症者達が集まる喫煙所には、やはり、なにかどことなく独特の雰囲気を醸し出しています。
言うならば精神科の中にある喫煙所・・・のような・・・
精神科デイケアの喫煙所・・・
そういったものとどことなく似ている気がします。
一般的な職場にある喫煙所にはないあの雰囲気。
お互いがなにか重いものを抱えながらもそれもひっくるめて一緒にタバコを吸う感じ。それも一心不乱に(笑)ここぞとばかりに。水を得た魚のように??
う~ん。だれかいい表現方法ありませんかね。この微妙なニュアンスとても伝わって欲しい。

回復者
ミーティングに集まる人たちは回復者です。前日に依存性物質を摂取したとしても、この瞬間やめるためにそこに集まっている人たちを私は回復者だと思う。
彼ら、彼女らは依存に対して無力であることを理解している。
だからそこ毎日ミーティングに参加する。
今やめている。
今日やめている。
そういう事実の積み重ねが回復することだということを知っているのだと思います。依存に関してそれぞれの向き合い方があるように、回復過程においても人それぞれの回復過程があるのだと感じ取ることができた。

 

★印象に残った発表者
(個人の大切な体験なので内容は割愛)
◆薬物依存症
◆異性問題・関係依存・性依存
◆アルコール依存症
◆摂食障害
◆処方薬依存
その他もろもろ、内容が濃すぎてお腹がいっぱいになる内容ばかりだった。

 

きっとこういう場でなければ語れない内容ばかりだろう。
依存に関する理解が乏しい人が聞けばきっと
『あなたの意志が弱いからだ。自己責任だ。我慢が足りないからだ。』
などと心無い言葉を浴びせてくるだろう。
しかし、依存症は意志の強さでなんとかなるものではないことを彼らは知ってる。
本気で当事者達とか関わった人ならそのその感覚を掴むことができる。
いやっ、自助グループに参加し続ける人がそれを実感できるのかもしれない。
「依存症は病気なんだということを」
苦しみながらも、今日一日その依存から距離を取るためにミーティングが存在し続けるのだなと身を持って実感した。

もし、いま依存の問題で悩んでいる人がいるなら
まずは素直に助けを求めること。
依存症は人に頼れない病とも言われる。
だからこそ似たような仲間に出会うことが大切だと個人的には思う。
ミーティングで相違点を見つけるのではなく、共通点をぜひ探してほしい。
自分の問題は果たして自分で抱えきれるものなのかなど
これは依存症に限ったことではないかも知れない。
例えば、家族の問題を家族で解決できる人はいいかもしれないが、家族では解決できない人も多いはず。
つまりは話せる場所を確保しておけってことですね。
ずっと悩んでるの大変なことなので、荷物を下ろせる場を作ること。
そして、そこが安全な場になっている必要があることが大切なのかも。