依存症治療につながった人たちなら一度は聞いたことがあるこの12ステップという言葉。なんかややこしそうで、宗教っぽくて、とっつきにくいなと私が感じたのも正直なところ。しかし、どうやら歴史もあるようで、回復の手助けになってくれるこの12ステップ。果たしてこの記事を最後まで見た人たちは、どのように感じるのだろうか。
AA(アルコホーリクス・アノニマス)
自助グループのおおもととなる当事者たちの団体。匿名性が重視され、団体といっても団体としての意見を持たない回復の為の自分たちが運営する集まりとして位置づけられる。
アルコールをやめる(断酒)するために、お互いの飲酒体験を語り合い、今日一日断酒していくことだけを目標に集まる仲間たち。
それぞれの体験に口出しするのではなく、言いっぱなしの聞きっぱなしのミーティングは今日もどこかで行われている。1935年にオハイオ州で始まったのがきっかけで、脈々と全国各地で行われている当事者たちの活動。多くの依存問題に共通する12ステップに各々が向き合っていく作業。12ステップこそが回復への第一歩であり、多くの回復者たちがこの問題に取り組んできた。AAの「アルコホーリクス・アノニマス(通称ビックブック)」にはその内容が詳しく示されている。
多くの依存症者がつまずくステップ1
この記事では12ステップ全部は取り上げない。
なんならステップ1しか取り上げない。
多くの人が、まずこのステップ1を乗り越えられないからだ。
「いやいや、ステップ1からつまずくなんてやる気あるの?ステップ1なんて最初の第一歩でしょ。」
こう思われる方が多いのも事実。
しかし、思った以上に難しいのがこのステップ1。
※ステップ1※
『私たちはアルコールに対して無力であり、思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた。』
自分が依存症であることを認める作業こそが、最初の一歩であることを示している。ただ、自分が依存症であることを心底認めるということは辛い作業でもある。
否認の病といわれる依存問題
誰しも依存症だと言われればいい気持ちにはならないだろう。
「自分は愛好家だから大丈夫。うまくコントロールできている。もっとひどい人を私は知っている。」などいくつもの依存を認めない言い訳を探してくるだろう。
ただ、本当の依存症患者は理解していると思う。
ステップ1で示されている様に、自分の思い通りの生き方ができなくなっていることに。依存症は否認の病であり、自身の問題性を認めるところから回復が始まる。
Q,ではなぜ依存症者は否認してしまうのか。
それは依存を認めてしまうと、全てを否定されたかのように感じる人も多いからではないかと私自身は感じる。認めることが全てを否定することにつながるのであれば、やはり認めたくない気持ちもややわかる。
だからそこステップ1が一番つまずきやすい。
自分の依存に関する問題を心底認められている人は回復に向かいやすい。
依存問題を目の前に「自分は無力だ。」と言えるかどうか。
回復に身を委ねられるかが12ステップの最初の壁だと思う。
ところで、この記事を読んでいるあなたは、自分の依存に関して何を思いますか?