今すぐできる過食スイッチを止める4つの工夫

摂食障害の症状の一つである、カショオ(過食嘔吐)についてはこれまでの記事の中でも多く取り上げてきたが、今回は、その過食のスイッチの止め方について迫る。

AERAの摂食障害の記事がチューブ吐きにまで言及!!

 

あなたがカショオ(過食嘔吐)の呪縛から逃げられない理由が実はここには眠っている。太ることが怖い方必見です。

 

過食スイッチを止める4つの工夫

□Twitterやインスタグラムのフォロワーの画像を見ない
□自分の買い込んだ食材を並べて撮らない
□無理なルールを作らない
□食べたい気持ちや止まらないつらさを言語化する

あなたがカショオの呪縛からから解放されるには、まずこの4つ工夫を試すことが回復の第一歩だろう。

~Twitterやインスタグラムの画像を見ない

SNSで同じ問題を抱える仲間とつながることはとても大事なことだ。一人で苦しみながらカショオを続けないためにも、たとえSNSであろうとつながっておくことは大切。

しかし、あなたは、フォロワーの画像を見ることで過食のスイッチが入っていないか?また、画像を見ながら今日、明日なにを次に食べようか考えていないか?

摂食障害者の多くは、食べ続けたい思いとやめなければいけない思いの葛藤を常に抱えている。あなたが開いているその画像は、カショオをより悪化させる引き金になっていないだろうか。無意識のうちに、知らず知らず強力な引き金に近づいていないだろうか。

食材を並べて撮らない

この行為は、一見何をどれほど食べたか記録しているだけのように見える。ひと昔前には、レコーディングダイエットという食事量を記録するダイエットも一時期流行った。

当時は、自ら紙媒体に記録し、そのカロリー計算によって摂取カロリーの整理に用いられたが、今はどうだろうか。スマホによっていとも簡単に画像に収められる。技術が進歩した反面、摂取カロリーに対する意識もアプリを用いることができるため、「考えること」が減ったのではないだろうか。

何を食べたかと記録していたものが、いつの間にかどれだけ食べたかという思考に陥っていないだろうか。

そして、食材を並べることは、過食行為をさらに強化させていることにもつながる。つまりは、過食を止めづらくさせているということ。まさに本人とって食べることを前提に動いている行動と言えよう。

無理なルールを作らない

多くの摂食障害者は、これまで幾度となく自分ルールを設定し、また、その自分ルールを幾度となく破り続けてきた。少しキツイ言い方になるが、摂食障害者のつくるルールには現実検討能力がないということになる。これは馬鹿にしているわけでなく、当事者によって作り出されるルールには、主観が入り込みすぎるため無理な目標設定を作ってしまいがちだ。

過食しないではなく、この時間帯だけ食べない。などのスモールステップを繰り返し、失敗しないルール作りが回復においても最も必要になるだろう。

食べたい気持ちや止まらないつらさを言語化する

まさに摂食障害において、最も重要な課題といえる。彼女らは真面目で我慢強く、弱音を吐かない。言語化することを避ける一方で、行動(症状)として、食べ吐きを繰り返す。つまりカショオの治療には、自分の言葉でつらさを話す必要がある。

しかし、世の中には安全で守られた自分の思いを話し合える場所は極端に少ない。カショオに向かう自分自身を引き止めるためにも、ツラさを言語化することは必須事項になってくるだろう。

もう一度言うが、彼女らは概ね真面目で、人に弱味を見せないからこそ、治療には「頼ること」が必要になってくる。なんとももどかしいことだ。

まとめ

我慢だけではカショオは止まらない。

しかし、多くの摂食障害者は、食欲を我慢できないのは我慢が足りないからだと思っている。摂食障害の依存に関する病識を持っていれば、意志の強さだけに頼っていても回復していかないことを身をもって体感できるだろう。

摂食障害の治療法には、薬物療法と同じくらい心理療法(認知行動療法・対人関係療法・カウンセリング)の有効性が示されている。摂食障害に至るきっかけを見つける作業やカショオに至る感情を言語化させることは摂食障害の治療に欠かせないもののひとつ。

結論を言えば、カショオの治療者はあなた自身だ。

精神科医やカウンセリングがあるから摂食障害が治るわけではない。あなたが自分の問題に向き合い、問題への対処方法を探りながら、治療に向かい続けることが摂食障害の回復期といえる。そのお手伝いとして精神科医やカウンセリングがあるのだと理解しておかなければいつまでたっても回復はしない。

そして、誰かに治療を丸投げするのではなく、治療に対して、また人生に対して主体的に生きようとする力が摂食障害者の治療には不可欠になるだろう。

あなたは、自分の体重や摂食障害に関するとらえ方についてどう感じているかなどを真剣に話したことはありますか?単なる体重が重い・軽いではなく、摂食障害について深く取り扱っている人はきっと少ないだろう。

でも、そんなこと話していったい何になるのか。」そう思う人も多いだろう。

しかし、摂食障害者にとって、今のあなた自身が感じている困り具合に焦点をあてる必要がある。「自分の思いや考えを吐き出してこなかったからこそ、症状として摂食障害があらわれている」ことに気づくことができれば、生き方全体が変わるかもしれない。だからこそ過食嘔吐は一種の自傷だと理解しながら、回復に力を注いで欲しい。




↓↓社会資源↓↓
こころの健康クリニック芝大門https://ipt-clinic.com/
メンタルクリニックエルデhttp://www.mental-erde.com/

あいち熊木クリニックhttps://www.dr-kumaki.net/
淀屋橋心理療法センターhttps://www.yodoyabashift.com/

※当事者でなくとも家族が社会資源につながることで当事者が生きやすくなることもありますので早い段階での受診をおすすめします。※

摂食障害になる子ってどんな子?

不合理とも言える食行動を繰り返しながらも、その行為に依存し、命を危機的な状況にまで自ら追い込んでいる摂食障害者には、なにか共通するものがあるのではないか。また、摂食障害になる子の特徴には、どういう背景が隠されているのか知りたくありませんか?

 

性格と摂食障害

多くの摂食障害や依存に関する論文では、ある程度の通説と呼ばれるものがあります。そしてその特徴のひとつとして、「昔から手のかからなかった真面目な子」が挙げられます。なぜ真面目なのに病気になっていくのか。そもそも、真面目な性格と病気って関係あるのか。などと感じる人も多いでしょう。ここで書かれている真面目さにはどのような意味が含まれているのでしょうか。今回は、摂食障害になりやすい人の特徴と、その原因について触れていくことになるでしょう。
食べることで一体何を満たしていたのか、果たして本当に満たしたかったのは食欲なのか。食べ続けることは簡単でもあり苦しいことでもある当事者に共通する課題とは何なのか。
異常な食行動に固執してしまう背景にはどんな機能が働いていたのかに迫ります。

 

どういう過程で摂食障害が展開するのか

主に摂食障害は、10代~20代前半の女性に発症することが多く、男性の10倍ほどの発症率が示されている。今でこそSNSなどで公言する人もいるが、昔は今以上に隠れてこっそり生き抜いていたのだろう。
過食症を例に挙げると、その食べる量は通常の買い物とは思えないほどの量を購入する傾向がある。ひとつの家族が菓子パンなどを購入する際、食パンや人数分の菓子パンを買うのが一般的なものだとしたら、過食症患者が買う菓子パンの量はその何倍にもなる。もちろん人それぞれ過食の量に差はあるものの、買い物かごいっぱいの菓子パンは通常ではありえない違和感を感じる。まさかこの量を一人で、また1食で食べてしまうなどと誰も想像できない。

 

当事者たちは病識を持っているものが多く、知的にもやや高い印象を私個人は持っている。病識(自分が病気であるという認識)をもち、問題を大きくさせないように努力を重ねながら生活している人たちを私は知っている。そして、自分の食べる量が異常であるという認識も充分持っている人が多い。

もにも関わらず、発症初期段階から精神科に関わる割合は少ない。
以前取り上げた記事にも、過食嘔吐に共通する【他人を頼れない病い】が根底にあるのかもしれない。
カショオ女子 ~摂食障害にみられる関係依存の問題

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食欲には抗えない

過食のケースについて考察すれば、彼らの食欲は一種の囚われを感じさせるほどの勢いがある。
詰め込むまさにそんな感じだ。
ひとつひとつの食材を味わって食べているようにも感じるが、むしろ何か感じることを鈍麻させるかのごとく食べ物を次から次へと胃に押し込める。食欲のスイッチが一度入ってしまえば止まらなくなる。自分の意志ではもうどうにもならないほど『食べたい』思いと『本当はもう食べたくない』というアンビバレント(両価的)な感情に支配され、スーパーなどに向かってしまうのだ。

摂食障害者の中には、『どうせ吐くから』と言って万引きする者もいるが、物事の善悪を理解している人や社会性に優れている人も圧倒的に多い。
しかし、食費が馬鹿にならないのも確かで、当人たちはスーパーなどの半額の時間帯を考慮に入れながら食べる活動を維持させる。

 

食べることで満たされるもの


感情に鈍感な人というよりは、感情を表に出さない人が多いのではないだろうか。多くの問題を自分だけで抱え込み、誰にも頼らず、甘えず、本当は助けを求めたい感情を食べ物で押し込めているのではないだろうか。
まさに、『真面目』そのもの。
本来違った形として出てきて欲しいこの真面目さが、食欲とつながってしまっていることこそが問題をより複雑化させる。
食欲が満たされると安心感や不安な気持ちが軽くなる。一時的であろうが、問題を棚上げできるという効果こそが当人たちの求めていることだったりする。

つまり、癒してもらうためには過食することが必要だったということになる。依存症問題に出てくる『自己治療仮説』がまさにこれにも当てはまるだろう。
過食を維持できているからこそ生きていられるということ。

病気を理解していない周囲の人間にとっては、ただ食べて吐いているだけに感じるだろうが、この行動にも重要な意味が隠されている。

食べることを止めることは死を意味すること

だからこそ、摂食障害者の行動は無理に止めてはいけない。
説得したり、言いくるめたところでその行動は止まらない。
過食するからこそ生きていられる患者がいるということを理解しておかなければ、当人を助けるつもりで言った言葉が鋭利な刃物となり、寿命をさらに縮めることにつながる。

本来抱えていた食べたくなるような感情に向き合う時間を主治医などとしっかり話していくことこそが治療なのではないか。
処方薬を出されるだけの、3分診療になっていないだろうか。

本来真面目でいなくてはいけなかった問題には着手できているのだろうか。

自分の問題が維持していることの意味や人に頼れない背景についても語られているのだろうか。

処方薬も大事であるが、精神科だからこそできる治療につながっているかを再確認したほうがいい。

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AERAの摂食障害の記事がチューブ吐きにまで言及!!

AERAがチューブ吐きに言及!!

先日AERA dotに「管を喉から胃まで突っ込む”チューブ吐き”摂食障害「痩せ姫」たちの危険な夏」と題して記事が出された。

https://dot.asahi.com/dot/2019080800063.html

某有名女優の激ヤセや有名歌手などの背景にあったと推測される「摂食障害」に迫った記事である。

私も以前このサイトで、カショオ(過食嘔吐を繰り返す)女子について書いたとおり、摂食障害の根っこにフォーカスを当てながら、その危険性とどうしてもやめられない葛藤が記事にも描かれていた。

https://yuruiizonshou.net/post-300/

何よりAERAの記事には、チューブ吐きに関することに言及されていたことに大きな衝撃を受けた。

Q,そもそもチューブ吐きってなに?
A,口からホースを突っ込んで胃の中の内容物を排出する行為です。

摂食障害に関して理解が乏しい人にとっては衝撃的な答えだろう。私自身も摂食障害者と関わる中で、チューブ吐きを自発的に答えてくれた患者さんは過去に10人もいなかったと思う。

過食嘔吐(カショオ)の人は、指を突っ込んで吐く割合が多い

ただ、それだと指に吐きダコができてしまう。
※吐きダコとは、指を入れて吐く際に手の甲に傷ができてしまい、繰り返すことによってタコになる状態。やせ細ったモデルさんの手の甲には、タコができている人も見かけられる。(テレビでついチェックしてしまう自分はもう職業病か?)

つまり、指吐きによる嘔吐は、周りに知られてしまうリスクをはらんでいる。また、胃液や胃酸が食道を通るため、喉が炎症を起こしたり顔がむくんでしまったり、ニオイが気になってしまう。さらには、歯のエナメル質が胃酸によって溶かされた結果、歯がボロボロになってしまうリスク、そして何よりも、吐いていることを他者に知られてしまうリスクがある。

吐きダコが残るリスクを避けるためか、指吐き以外にも腹筋を使って吐く方法などもある。チューブ吐きや濯ぎなど、普段聴き慣れない言葉が掲示板やTwitter上でよく飛び交っているのを見かける。

摂食障害に悩む当事者の中には、どんな手法を使ってでも吐かなければいけない強迫的な思いに囚われている人も多い。

過食嘔吐がバレない為に考えられたのがチューブ吐き

チューブといっても医療用ではない。ホームセンターなどで長さの量り売りしているようなシリコン製のホースだったりがソレに使われる。

客観的にホースを咥えている絵を想像すると滑稽だろうが、当事者はその中で苦しんでいるのも事実だろう。喉の内壁を傷付けないように慎重にチューブを突っ込み、ソレを胃まで差し込むのだ。ソレで喉を傷付けないように角を取ったり(面取り)、吐いた後は洗面器等に漂白剤を入れ、つけ込む。掃除が行き届かないホース内部を清潔?に保とうとしている人も過去にいた。

チューブ吐きとは、胃瘻(いろう)とは真逆な発想をもとに、摂食障害を抱える当事者たちが生きるために考え出したもものなのかも知れない。


※この記事を読んだ人はここもチェックしてほしい※


この記事を書く際に、具体的なところまで描くと同時に、リスクも必ず伝えておかなければと思った。ぜひ、ここもチェックして欲しい。
◆摂食障害の予後
◆摂食障害と骨粗鬆症
◆自殺率
◆依存という病気

多くの要因があって吐くことを余儀なくされている当事者に吐くのをやめなさいなどという気は私には毛頭ない。「きっと生きていくためには吐かざるを得ない理由があるのだと思う。

ただ、一人で抱えることは避けたほうがいい。SNSなどを活用しながらチューブ吐きについての知識を得たり、リスクや効果、予後などを調べることをおすすめする。私の記事よりも当事者たちの生の声の方がよっぽど重みがあったり、心に響くだろう。

また、摂食障害は立派な病気だということを認めるところから始めてもいい。淡々と一人で苦しみながら過食嘔吐(カショオ)を繰り返したりするのではなく、いいことも悪いことも話せる場がこの病気にも必要だと思う。それはこのサイトの大きなテーマでもある「依存症」に大きく関わってくる。

本音を言えば摂食障害などの自助グループに足を運び、その苦しさを話し合えばいいと思う。しかし、SNSがこれほどまでに広がった中では、まずSNSを活用するべきだと私個人は感じる。チューブ吐きに関するより具体的な方法はあえて記載しないのでぜひ自分で調べてみるといい。

「摂食障害の偏見が広がってしまう」
「当事者じゃないなら黙ってて」
「娘が変な知識を覚えて真似したらどうするんだ!」
などの不安に駆られた周囲の人間から心ないコメントをよくいただく。これこそが、摂食障害者が抱えている生きづらさそのものなのだろうと感じさせられる。

批判する人の「寝る子を起こすな」に対しては、「あなたが寝ているのだ」と反論したい。摂食障害、過食嘔吐(カショオ)で苦しんでいる人たちは確実にいるのだから。

とにもかくにも、チューブ吐きの記事をきっかけにいろいろつながってみることをおすすめする。

結果、吐いたとしてもそれはそれでかまわない。
今日一日だけ頑張ることを積み重ねていけば解決の糸口は見えてくるかもしれない。
↓厚生労働省みんなのメンタルヘルス摂食障害↓
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_eat.html