「過度な期待はしないほうがいい。」
何度も説明したが、彼女らは期待してしまう。
そして、相手を理想化し、それが叶わなければ価値下げしてしまうのが摂食障害者さんの特徴でもある。
もちろん、そうでない人は山ほどいるだろう。
しかし、私が関わってきた摂食障害者の多くは、この問題を抱える人が多かったように思う。
期待しすぎるから理想は粉々に崩れてしまうわけだが、彼女らは人一倍相手を理想化してしまう傾向がある。
病気を理解してくれる家族!
まるっと全て包んでくれる理想の彼氏!
自分の都合のいいように対応してくれる主治医!
こういった理想化の影には「幻滅」が常に付きまといます。
気をつけて〜
特に摂食障害者が気をつけておかなければいけないことは、「理想化」と「価値下げ」の悪循環。
ケース1
「彼氏は私の摂食障害のことをすごい理解してくれる」
「過食嘔吐(カショオ)だって理解してくれる」
「一緒に病気を克服しようと言ってくれた」
これらの考えは極めて危ない。
彼氏や身近なパートナーへの期待も摂食障害を抱える当事者が陥りやすい理想化の典型的なパターンだろう。女性はどこかで今の状況を一瞬で変えてくれる存在を求めているということを大前提に考えるとこの構図がよくわかってくる。
だからこそ相手を過度に理想化してしまうことはリスクなのかもしれない。本人にとって都合の良い支えは、理想化との結びつきが強いといえる。
「私の苦しみをまるっと全て包み込んでくれる存在」いつも期待しちゃう・・・わかるわ〜
ケース2
「家族が摂食障害を理解してくれた。カショオも認めてくれた。」
「主治医最高!看護師さん最高!」
これらの考えも極めて危ない。
実は、家族に対する期待もしないほうがいい。なぜかというと、家族は病気を理解しているようで理解していないことが多い。一旦は、あなたが心配でカショオを認めてくれたとしても、医療従事者でない限り家族は非常に脆い部分がある。あなたが変化しない状況にイライラし、耐えられなくなることだってある。
最初は受容的に関わってくれていた家族が、変わらない現状に耐えきれなくなり当事者を攻撃してくる事はよくある事例だ。
だからこそ家族に期待するのではなく、安定的に関わってくれる医療に最低限つながった方が回復の道筋は見えてくる。ただし、医療関係者ですら摂食障害に関する知識を十分持っていない人も多いことも心に留めておいた方がいい。
まとめ
摂食障害者の「理想化」と「価値下げ」は常に表裏一体で存在し続けている。もちろん彼女らが苦しんでいる事は事実だろう。理解してくれる彼氏や家族に助けを求める事は重要な関わりだと思う。
しかし、摂食障害者特有ではないにしろ、価値下げ行為は精神科の治療過程ではよく見かける事だ。彼女らは、失敗した補償をどこかに求めやすい。それが身近な人間関係に投影されることもよくある事で、治療では対人関係療法などを通してじっくり回復過程を考えていく。
「じっくり、ゆっくり」これもまた摂食障害患者が苦手な部分の一つ。
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