ギャンブル依存症者が今日賭けないためにすべきこと

依存症の回復過程の共通キーワードとして
今日一日○○しない】という概念は、最も重要な部分だといえます。それほどまでに依存症者は、毎日誘惑や渇望と闘っているのです。いつ、何がきっかけでそのスイッチが入るかわからない人も多く、そのスイッチは生活の中の至るところに存在します。

行くこと自体が目的になっている??

過去の記事でも取り上げたように、ギャンブルや買い物、窃盗、浮気、インターネットといった依存は、主にプロセス依存と呼ばれる性質を持っています。
https://yuruiizonshou.net/post-1754/

https://yuruiizonshou.net/post-1463/

加えて、ギャンブルの場合は、勝ち負けを通り越して、遊技場に行くこと自体が目的になってしまう場合が多く、のめりこみすぎてしまうと多くのものを失ってしまいます。

要はギャンブルのスイッチを避ければいいのね!

簡単じゃん♪

実は、避けるってすごい大変なことなんですよ・・・

ギャンブルの引き金

パチンコ屋に行かなきゃいい
競馬がある週末は予定を入れておけばいい

これらは、引き金を避ける上で当たり前にできる対策でしょう。しかし、世の中には隠れた引き金もたくさんあります。

パチンコ・パチスロを例に引き金を考えてみると・・・

◆コンビニの雑誌コーナーで攻略雑誌を見た時

◆遊戯していた時に飲んでたエナジードリンクを見た時

◆エヴァンゲリオンの曲を聞いた時

◆YouTubeのパチンコ実践動画を見た時

◆給料日や財布の中の2万円を見た時

◆パチスロコインの独特な臭いがした時
◆あたり付き自動販売機でコーヒーを買う時 などなど

タイトルにある通り、「今日賭けないためにすべきこと」はこれらの引き金を意識して避けて(行動して)いくことです。小さな引き金を意識して避けていくことが今日一日を乗り切るために最も大切なことだといえます。あなたが思っている以上にギャンブルの引き金は身の回りの生活に溶け込んでいることが多いでしょう。

できれば、何を求めてギャンブルをやり続けていたかを話せるといいでしょう。これを話せる人は、回復の次のステップに進むこともできますし、ギャンブルにつながる精神依存も治療の中で取り扱えるようになります。

https://yuruiizonshou.net/post-329/

ギャンブルをする半数の人たちは、「ギャンブルでの痛い目」を見たところでギャンブルと距離をおくようになります。しかし、病的なギャンブル依存症者の行動は止まりません。これは「意思が弱いから」とか「底をついていないからダメだ」という意味ではなく、ギャンブル依存症はまぎれもなく病気だからです。

そう考えると今日すべきことが少しだけ見えてきますね。



よく聞く依存症回復の為の12ステップってなあに?

依存症治療につながった人たちなら一度は聞いたことがあるこの12ステップという言葉。なんかややこしそうで、宗教っぽくて、とっつきにくいなと私が感じたのも正直なところ。しかし、どうやら歴史もあるようで、回復の手助けになってくれるこの12ステップ。果たしてこの記事を最後まで見た人たちは、どのように感じるのだろうか。

AA(アルコホーリクス・アノニマス)


自助グループのおおもととなる当事者たちの団体。匿名性が重視され、団体といっても団体としての意見を持たない回復の為の自分たちが運営する集まりとして位置づけられる。
アルコールをやめる(断酒)するために、お互いの飲酒体験を語り合い、今日一日断酒していくことだけを目標に集まる仲間たち。
それぞれの体験に口出しするのではなく、言いっぱなしの聞きっぱなしのミーティングは今日もどこかで行われている。1935年にオハイオ州で始まったのがきっかけで、脈々と全国各地で行われている当事者たちの活動。多くの依存問題に共通する12ステップに各々が向き合っていく作業。12ステップこそが回復への第一歩であり、多くの回復者たちがこの問題に取り組んできた。AAの「アルコホーリクス・アノニマス(通称ビックブック)」にはその内容が詳しく示されている。


多くの依存症者がつまずくステップ1


この記事では12ステップ全部は取り上げない。
なんならステップ1しか取り上げない。
多くの人が、まずこのステップ1を乗り越えられないからだ。

「いやいや、ステップ1からつまずくなんてやる気あるの?ステップ1なんて最初の第一歩でしょ。」
こう思われる方が多いのも事実。
しかし、思った以上に難しいのがこのステップ1。

ステップ1
『私たちはアルコールに対して無力であり、思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた。』

自分が依存症であることを認める作業こそが、最初の一歩であることを示している。ただ、自分が依存症であることを心底認めるということは辛い作業でもある。

否認の病といわれる依存問題


誰しも依存症だと言われればいい気持ちにはならないだろう。
「自分は愛好家だから大丈夫。うまくコントロールできている。もっとひどい人を私は知っている。」などいくつもの依存を認めない言い訳を探してくるだろう。

ただ、本当の依存症患者は理解していると思う。

ステップ1で示されている様に、自分の思い通りの生き方ができなくなっていることに。依存症は否認の病であり、自身の問題性を認めるところから回復が始まる。



Q,ではなぜ依存症者は否認してしまうのか。
それは依存を認めてしまうと、全てを否定されたかのように感じる人も多いからではないかと私自身は感じる。認めることが全てを否定することにつながるのであれば、やはり認めたくない気持ちもややわかる。
だからそこステップ1が一番つまずきやすい。
自分の依存に関する問題を心底認められている人は回復に向かいやすい。
依存問題を目の前に「自分は無力だ。」と言えるかどうか。
回復に身を委ねられるかが12ステップの最初の壁だと思う。

ところで、この記事を読んでいるあなたは、自分の依存に関して何を思いますか?