近年、大麻事件の摘発が右肩上がりに増加しつつあり、その流れに歯止めをかけるべく、若年層に向けた未然予防教育にも力が注がれているものの、その入手の容易さのハードルは低いままだ。なかでもスマホの普及によって若者でも容易に違法薬物を入手しやすくなり、以前のような「繁華街にいる怪しい外国人から買う」という定番の入手文句は現代ではもう通用しなくなってきている。
摘発増加の3つの背景
①低価格化と入手の容易さ
②曖昧な法整備
③薬理効果
1に関しては、スマホの普及により若年層中心に拡大している背景がある。SNS等のダイレクトメッセージや掲示板等のアプリを駆使しながらいわゆる「売人」と言われる者たちは格段に「営業」しやすくなってきた。また、反対に、それらを欲する当事者たちも容易につながりやすくなったと言える。摘発件数増加の背景には、需要と供給をつなげる橋渡しが多岐に渡ってきたことや、特定の人間を介しての取引に頼らなくてすむスピード感があるのだろう。日本では水際対策がなされているといえども、年々違法薬物の輸入量は増加傾向であり、その他の違法薬物よりも安価で購入できる事も拍車をかけている。
2に関しては、大麻取締法違反は、「使用」に適用されるのではなく「所持」に適用される事が背景にある。大麻使用の抜け穴とも呼ばれているものでもある。曖昧で理解しずらいが、自然界に自生する大麻に関しては、その成分が検査によって摘出されたとしても「所持」を伴わないと摘発に至らないケースのあると言う事だ。(ただし、麻薬取締官などから継続的にマークされる事もある)つまり摘発増加の背景には、それ以上の暗数が隠れている事がわかる。
3「ネガティブな気持ちがスッキリする」、「リラックスできる」と使用者が言うように、薬理効果を持っているからこそ大麻使用か継続されるのだろう。個人の抱えている「不安」や「痛み」を一時的に緩和してくれる効果があるからこそ彼ら彼女らは大麻に「依存」してしまい、その薬理効果から逃げる事が困難になる。
まとめ
言うまでもなく、違法薬物の所持や使用は犯罪である。しかし、それらに「依存」する背景には彼ら彼女らの生きづらさが存在するのかもしれない。そこにアクセスしない限り、違法薬物の右肩上がりの摘発件数に歯止めをかけることはできないだろう。
周りを見渡せば、実は身の回りに大麻製品はたくさんある。日本では、産業用に大麻を活用することが一般的で、種や茎の繊維から多くの製品が作り出されている。また、抽出されるオイルは一定の法律のもとで商品化され、普通に売られている。
これまで「葉」に関する効果や効能に関しては、統計的に取り扱われることは極端に少なかった。同時に、これらの大麻使用がより違法で強力な薬物使用のゲートウェイドラッグとなる事も理解しておかねばならない。大麻を軽視するのではなく、脱法・合法問わず薬理効果や副作用の検証も含め、法制度の見直しも適宜必要となってくるだろう。
タバコをやめ続け、10年以上経過している管理人にとっては、もし法律で認められたとしても使用する選択肢は出てこないのかもしれない。しかし、そこに積極的に向かおうとする人たちの心情には何らかのこだわりがあるようにも思えるからこそ当事者たちとの語らいは継続していきたい。