なぜ自粛明けはギャンブル依存症のリスクが高まるのか

緊急事態宣言などの外的要因によって、全国のギャンブル依存症者は、概ね戦場に出ることを止められているわけだが、こうした外的要因によってあたかも依存症はコロナと同様おさまったかのように見える。しかし、実はまったくそうではない。
緊急事態宣言が解除された今、この自粛明けこそ、依存症たる問題性が浮き彫りになってくる時期といえる。

ただ止まっているだけの依存は回復とは言えない?

一般の人々の認識では、一定の期間ギャンブルにいかなければ依存症というものは完治したものだと思いがちのようだ。しかし、実際のところ、そう簡単にギャンブル依存症は治らない。以前の記事でも書いたとおり↓↓↓
緊急事態宣言中の最中パチンコに行く奴はギャンブル依存症か否か問題

ギャンブル依存症の定義には、コントロールの障害がつきまとう。

「外出自粛でギャンブルに行ってないんだから、コントロールできてるじゃん」
と一見そう見えがちであるが、彼らにとって止めることとは行ける状況でやめていくことにある。

脳内の報酬を求める回路は、自粛によって強制的にシャットダウンさせられていると言ってもいいだろう。そう、自粛が明けるということは、まさに再起動がはじまったのだ。

意志の強さなどの問題ではなく、一度脳が依存状態になってしまうと、あとは引き金から離れ続けなければ回復はしていかない。彼らにとっての回復とはギャンブルにいける環境でやめ続けることだ。

あなたがもし、依存症ではないと思うのであれば、自粛明けから断ギャンブルしてみることをオススメする。行ける状況でいかないことを選択していく苦しさを感じた時、果たしてあなたはギャンブルにいかない選択肢を選べるであろうか。

日本には公的なギャンブルもあり、法律に認められた範囲で楽しめる遊びがたくさん存在する。この記事は、ギャンブルがいい悪いと言った単純な問題ではなく、依存する心について取り扱う。

依存症になっていないからと言って安心するのではなく、誰にでも依存症はなりうると思っておいた方がより良い生き方を選択することにもつながるだろう。

依存症は、その日一日回復に力を注ぐことが治療でもあり、今日一日まずギャンブルしないことを継続していくことが回復といえる。

 




躁うつ病のサインを見逃すな!双極性障害の治療と実際

「人をまくしたて、自分が決定したことになんら確信が持てずともそれを曲げず、罵倒したと思えば自分のペースで仲直りしたと勘違いし、関係を築いては自ら破壊し、いったいあの人は何がしたかったのだろうか。いつも何かに追われているようで、止まることに恐怖すら感じている様子だった。」

隔離室の強化ガラスを挟んで、私と双極性障害(以下躁うつ病)者との出会いはそんな感じから始まりました。当時の私が感じた病気と回復についてのお話。

そもそも躁うつ病って

気分・感情が高まったり、逆に気分がズンと沈んだりと感情の振れ幅が大きく、躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気のこと。

特に激しい双極性を持つのがI型で、周りから見ても一目瞭然に活動的になる。誰かれかまわず話しかけたり、元気すぎるという理由では納まりがつかないぐらいの病的な状態がそれにあたる。睡眠時間を惜しんで何かに没頭したり、ひとつのこだわりに固執し、金銭感覚が狂う人もなかにはいる。

周りの意見など聞く耳を持たなくなり、仕事などもその場の気分・感情で辞めることだってある。躁うつ病を病気と捉えられず、自分の性格の問題と決めつけたりするなど、多くの物事に対して視野狭窄している状態。

 

双極性II型は、軽い躁状態とも言われ、数週間〜数ヶ月をひとつの流れとして、躁とうつが波のように訪れる状態の人も多い。うつ病的な気持ちの揺れ動きも主な症状の一つであり、何もしたくない軽いゆううつな気分から、布団から立ち上がれないほどの気持ちの落ち込みや、食欲低下、興味関心がなくなることも症状のひとつだ。I型に比べて、躁のエピソードよりもうつ感情が強く出る人も多く、どちらの精神疾患も中学生から中年期まで幅広い年齢で発症する病気といえる。

強化ガラス越しのあの人は・・・

怒りの感情はきっと誰に向けてでもよかったのだと思う。誰よりも偉くなったような口振りで話すあの人は、こちらを攻撃することで自分を保ち、抑えていたのかもしれない。きっと何度も再発を繰り返す中で、多くのものを失ったり壊したりしてきたのだろう。治療につながり回復に向かおうとしているあの人に、当時の私はネガティブな感情しか向けられなかった。

自己中心的に振る舞い、人を罵倒し、話題を奪い、多弁でこちらの思いなど受け止める気もなかったその人を外来の待合室で一度見かけた。

頭を伏せ、一度も顔をあげる事もなく、家族に手を引かれて歩いていたあの人の姿に、強化ガラス越しにみた面影は一つもなかった。

あの人の躁状態はきっと病気がそうさせていたのだろうと思えた瞬間だった。
思いつきで自傷行為や自殺企図を何度も繰り返していたのもきっと病気がそうさせていたに違いない。

躁うつ病の治療とは

躁うつ病は再発しやすい病気だといえる。
寛解(病気の状態がほぼ消失し、コントロールできている状態)に至るまでには長期的な治療が必要になるし、そもそも
正確な診断を受けるまでに数年以上かかる精神疾患ともいえる。

早期発見が重要な課題になると同時に、家族の協力をいかに治療につなげるかが鍵でもある。しかし、躁うつ病患者の中には、すでに家庭関係が壊れている人たちや自ら家族との縁を切っていった人も多く、家族以外のパートナーなどの協力者がその役割を担っている部分もある。

また、躁うつ病の治療には、薬物療法や精神療法が選択されやすい。
適切な治療を継続していけば、症状をある程度抑えて普通の生活もできる。一人で回復していくことには限界があるのも事実で、治療には大切なポイントが3つある。
病識を持つこと(病気に関する理解を深めること)
治療に参加し続けること
躁うつのサインに気づくこと

病識を持つこと
病識を持つことは、どの精神疾患においても大切なことである。
しかし、誰しも「あなたは病気です」と言われていい気持ちにはなれない。とはいえ、躁うつ病は、本人が自覚しにくい病気でもあり、「行動化」が顕著で、逆に言えば周りから見ると発見しやすい病気ともいえる。当事者は精神疾患の再発に気付きにくく、周囲からの声かけが回復へ足掛かりとなる。

治療に参加し続けること
躁うつ病患者の中には、自己判断で通院をやめてしまう人もいる。うつ期に入れば「行動化」は治ることから、治療につながる人も多い。躁状態の期間は、ブレーキが壊れた車のように、壁に激突するまで止まれないほどの強引さを兼ね備えている。自己判断で処方薬を止めたり、勝手に調整したりしないためにも治療への参加が回復には必要になる。

躁うつのサインに気付くこと
活動的になり、夜も寝ないで平気な状態になる。異常なまでに話し続けたり、思いつきのアイデアを誇大化させ、根拠のない自信に満ち溢れたり、性的に奔放になる人もいるようだ。要するに、躁うつ病は「行動化」しやすい病気でもある。特に躁状態に入る前には、個別の特徴的な行動が出てきやすいようで、主治医やケースワーカーなどとも症状をまとめておくと良い。

まとめ

躁うつ病は、何より医師による診断が大切だと個人的に感じる。
高まりすぎた感情に対しては、抑制的な薬物療法を用いることだってあるだろう。反対に、落ちすぎたうつ感情には、精神活動を活性化させるような対症療法が精神科にはある。

注意しておかなければいけないことは、うつ病に用いられる抗うつ薬を躁状態の患者に投与すると「さらなる躁を引き起こしてしまう」ような悪い結果にならないように診断と主治医の考えを理解しておく必要がる。

だからこそ、主治医との定期的な診察は、回復において大きなウエイトがおかれる。再発の兆候を見逃さないためにも早めの精神科への受診を勧めたい。

躁うつ病のサインを見逃すな!双極性障害の治療と実際。




ADHD講座!大人のあなたもきっと当てはまる!診断と特徴

「あれ、自分って発達障害じゃないのかな?」
「どうも周りとうまくやっていけない」
誰しも一度は思ったことがあるのではないだろうか。
特に今回は、発達障害の中でも表立って目立ちやすいADHDについて取り上げる。

そもそもADHDとは・・・

注意欠陥多動性障害(Attention deficit hyperactivity disorder:以下ADHD)とは、病気ではない。あなたが持って生まれた特性(キャラクターや人格そのもの)といった方が理解しやすいかもしれない。心理領域では、障害として幅広く説明されるものの、多くの人々が多かれ少なかれその特性を持っている。そしてADHDには、主に2つのタイプが存在する。
注意欠陥タイプ
人の話をじっくり聞くことができず
、注意散漫になったり、目移りして落ち着きがなく、うっかりミスが重なったり、人との約束などを覚えられない(忘れてしまう)など、とにかくケアレスミスが多い注意欠陥タイプ。
多動タイプ
注意集中力がなく、いつも忙しそうにしていたり落ち着きがない。思ったことを口にしやすく、周りの流れをぶった切ってまで自分の主張を述べたり、待つことが苦手で、人と深い関係に発展する前に関係悪化してしまうこともある。行動として現れるだけでなく、ソワソワと精神的に何かしてないと落ち着かない人もここに分類されるかもしれない。

さて、あなたはどっちのタイプ?

もちろん注意欠陥、多動どちらも持っている人もいるだろう。私自身は、注意欠陥の特性がやや強く、ひとつのことに集中して取り組むが、気が散りやすくその維持に悩まされることが多い。マイナスに捉えやすいこの発達問題であるが、自分自身の特性を知ることができれば、それもまた強力な力となるだろう。

 

ネットには様々な診断ツールがあり、あなたをADHDであることを後押ししてくる。
もう一度いうが、ADHDは病気ではない
ただ、その中でも「頻度と程度」には注目しながらこの障害には付き合っていく必要がある。
誰しも物を無くすし、ケアレスミスだってしてしまう。相手の話よりも自分のことを話したいし、自分中心で世界が回っていると感じていた方がとても気持ちがよく生きている実感を感じるだろう。

しかし、ADHDの人々は、その程度が顕著に現れやすい。そして、そのバランス感覚がうまくつかめない人も多いと個人的に感じる。

障害か障害ではないかを明確に区別することは難しいが、「理解しているにも関わらず、同じ失敗を繰り返してしまう」時は障害の疑いが濃くなるだろう。脳の機能的な問題も関わっていることも多く、本人に悪気はなくても障害によって当たり前のことができなくなっている状態ともいえる。

しかし、たとえ診断されたとしても発達検査では、自身の特徴とその対策について教えてくれるので安心していい。日本の児童精神科等では、WISC-Ⅳ新版K式発達検査が主に使われる。また、成人であればWAIS-ⅢやWAIS-Ⅳなどがそれにあたる。

きっとこの記事にたどり着いた人なら、自身の発達的な部分に対して多少なりとも違和感を感じている人も多いことだろう。仮に、発達障害の診断をすでに受けている人がいたとしても安心していい。

自身の特性を知り、うまく付き合っていく方策さえ掴めれば、人生は今以上に有意義になる。一番心配な人は、自分が何に困っているか分からないけれど、いつも自分の周りではいろんな出来事が発生していて疲弊している人、だと感じる。困っている当事者は、自分の状態が見えにくくなってしまうのがこの障害の特徴でもある。

診断によってカテゴリーされ、心ない言葉や差別を受ける心配もきっとあるだろうが、発達検査を受けることで自身の特性が見えてくる。そういう意味では、発達検査を受けるメリットは大きいといえる。

発達障害は一種の才能であるとも捉えられる。芸能人の中にも発達障害を公表している人が多数おり、能力を生かした仕事ややりがいを見つける上でも自己理解を深めていくことはあなた自身の視野を広げることにつながるだろう。

↓ADHDを公表した芸能人まとめ↓(外部リンク)
https://badvugum.com/youtuber/adhd-yumeijin

↓東京発達障害者支援センター(TOSCA)(外部リンク)
http://www.tosca-net.com/soudan/

↓生駒医院 発達障害とIQ検査とワーキングメモリー(外部リンク)
http://www.ikomaiin.com/index.php?QBlog-20150719-1




ゆりにゃとタイチョーから見えてくる自傷行為とタトゥーとボディーモディーフィケーション

ボディーモディフィケーション(身体改造)と自傷行為、タトゥー、刺青、ピアスそれらの表現方法には、やり方手法は異なれど、身体に傷をつけるという点で共通する部分があり、自己表現のひとつという範囲から周囲に大きな影響を与えるほどのインパクトを持ったものまで様々ある。

Twitter等のSNSでは、検索すれば簡単にその手の人たちともつながることができる。「蛇にピアス」(金原ひとみ,集英社)で題材にされた舌先を裂く「スプリットタン」は当時の私にも大きな衝撃を与えた。
とはいえ私自身は、ピアスなども開けたことがなく、また積極的に開けるに至る行動をとってこなかった。「痛い、怖い」はもちろんあるが、「一度手を出すときっと止まらなくなる」といった方が合っている。
自分を表現する手段や理想を形にしようとする彼ら彼女らの姿はとても魅力的に感じる。

ゆりにゃへの愛はタトゥーを入れることで証明できるのか

YouTubeやTwitterを見ていると、トレンド蘭からその当事者のTwitterを遡り、ことの経緯を調べることがある。また、まとめサイト情報を見ながらなぜこの問題が今起こり、バズっているのかをよく考える。今回は時事ネタを交えて自傷行為について深掘りしたい。

←要約すると、有名女性インフルエンサーであるゆりにゃ@yurinya1128さんに気持ちを寄せる斉藤タイチョー@saitou_taichouが、本人への真剣な愛なのか、気をひきたいのかは定かではないが、「入れ墨、彫れよ!!」のLINEの返信をまともに受け、指に刺青を入れる行動に出た。
リプ欄には「黒歴史確定だろこれはwww」や「どうせ後から後悔するよ」、「一時の気の迷い」などの厳しい言葉が多く、その行動に恐怖すら感じるフォロワーも多くいたという。
唯一、
彼を評価できる部分があるとすれば、「行動力」だと思う。しかし、その行動も浅はかでその真剣さも外で見ている私には全くといっていいほど伝わってこなかった。

https://twitter.com/saitou_taichou/status/1255816115625750529
↑↑Twitter詳しく見たい人はご自由に↑↑


この経緯から見ても・・・

この男性の発言や安直な行動から伝わってくるように、振り向かせるための道具として自傷(入れ墨)が用いられたことがわかる。これはタトゥーや入れ墨が好きな私からすると怒り心頭な案件である。この男性は、以前にも同じ女性に気をひくためかリストカットの画像を添えたLINEを送っていた。

相手の言うことに従順になることが深い愛情と勘違いしているのかもしれない。たとえ相手がその場の気分で言い放った「入れ墨、彫れよ!!」の言葉があったとしても、わずか9時間後に後先考えず行動してしまう人間に長いスパンでの計画性はないのだろう。

過去の関連記事↓↓

間違って自死に至る病~リストカッターケンイチ

 

入れ墨やタトゥーが悪いのではない。これをすれば相手が受け入れてくれるだろうという「甘え」に入れ墨が使われたことがたまらなく不快だった。文化的に認められるようになりつつある自傷行為」の価値観がまた地に落とされた感じがした。

20年前の日本では、ピアスやタトゥーそれ自体が非行や自傷の象徴であった。まさにこの問題を通してタイムスリップしたような気持ちになり、この男性の恋路がどうなろうと関係ないが、ネガティブなニュースとして偏向報道されないかが心配になった。




緊急事態宣言中の最中パチンコに行く奴はギャンブル依存症か否か問題

都内で緊急事態宣言が出され、5月6日までの外出自粛が言われる最中、特定の遊戯施設「パチンコ店」にはGW前のこの連休でさえ行列ができている。
なかでも大阪は、休業要請に応じないパチンコ店の公表に積極的に踏み込むなど独自の対策をしている。果たして彼ら彼女らにとってギャンブルをすることは不要不急の事態なのか。依存症の観点から考察していきたい。

依存の問題?趣味の範疇?

依存症全般の定義に共通するように、「コントロールを失うこと」はまさしく依存症と捉えて差し控えないだろう。「否認の病」とも言われるように、彼らは自分が依存症であることを認めることを避ける傾向がある。

「基本的には外に出ることを避けたほうがいい」時期でも「ギャンブルに行くと決めたら行ってしまう」この自己矛盾はまさに趣味の範疇を越えた依存症の問題を抱えている。

一般的な趣味嗜好の範囲であるなら諦めがつきやすい中で、ギャンブル中心の生き方になっている当事者はその諦めの感情と戦い続けていると言える。当事者たちの「ギャンブルを続けたい欲求」と「それを止めたい欲求」が同じ程度存在していることを一般の人たちはなかなか理解できないのが現状だ。

ネットなどでいくら依存症を叩いたとしても、このことに気付くことができなければ助言もその効果を発揮しない。
現在非常事態宣言にある中でも、そこに向かいたくなる気持ちを理解しながら行動自粛を呼びかけるにはそれなりのテクニックも必要になってくるだろう。

「依存症は病気」であることを理解している人たちも、このような非常事態宣言を通じて回復者への支援を声高に上げていく必要がある。

ともあれ、感染症収束に向けて個人単位でできる努力は必要であり、余分な外出等は控える事が今は大事。

もちろん政府が主体となって休業を「指示」する場合には、企業に対して補償とセットでその動向を見守ることが求められるだろう。また、その法律に脆弱性があるのであれば、それも含めて変えていくのが政治家の仕事であり、今こそギャンブル依存症についても大きな一手を打つべきタイミングなのではないだろうか。




大麻摘発増加の3つの理由

近年、大麻事件の摘発が右肩上がりに増加しつつあり、その流れに歯止めをかけるべく、若年層に向けた未然予防教育にも力が注がれているものの、その入手の容易さのハードルは低いままだ。なかでもスマホの普及によって若者でも容易に違法薬物を入手しやすくなり、以前のような「繁華街にいる怪しい外国人から買う」という定番の入手文句は現代ではもう通用しなくなってきている。

大麻3

摘発増加の3つの背景

低価格化と入手の容易さ
曖昧な法整備
薬理効果

1に関しては、スマホの普及により若年層中心に拡大している背景がある。SNS等のダイレクトメッセージや掲示板等のアプリを駆使しながらいわゆる「売人」と言われる者たちは格段に「営業」しやすくなってきた。また、反対に、それらを欲する当事者たちも容易につながりやすくなったと言える。摘発件数増加の背景には、需要と供給をつなげる橋渡しが多岐に渡ってきたことや、特定の人間を介しての取引に頼らなくてすむスピード感があるのだろう。日本では水際対策がなされているといえども、年々違法薬物の輸入量は増加傾向であり、その他の違法薬物よりも安価で購入できる事も拍車をかけている。

2に関しては、大麻取締法違反は、「使用」に適用されるのではなく「所持」に適用される事が背景にある。大麻使用の抜け穴とも呼ばれているものでもある。曖昧で理解しずらいが、自然界に自生する大麻に関しては、その成分が検査によって摘出されたとしても「所持」を伴わないと摘発に至らないケースのあると言う事だ。(ただし、麻薬取締官などから継続的にマークされる事もある)つまり摘発増加の背景には、それ以上の暗数が隠れている事がわかる。

3「ネガティブな気持ちがスッキリする」、「リラックスできる」と使用者が言うように、薬理効果を持っているからこそ大麻使用か継続されるのだろう。個人の抱えている「不安」や「痛み」を一時的に緩和してくれる効果があるからこそ彼ら彼女らは大麻に「依存」してしまい、その薬理効果から逃げる事が困難になる。

まとめ

言うまでもなく、違法薬物の所持や使用は犯罪である。しかし、それらに「依存」する背景には彼ら彼女らの生きづらさが存在するのかもしれない。そこにアクセスしない限り、違法薬物の右肩上がりの摘発件数に歯止めをかけることはできないだろう。

周りを見渡せば、実は身の回りに大麻製品はたくさんある。日本では、産業用に大麻を活用することが一般的で、種や茎の繊維から多くの製品が作り出されている。また、抽出されるオイルは一定の法律のもとで商品化され、普通に売られている。

これまで「葉」に関する効果や効能に関しては、統計的に取り扱われることは極端に少なかった。同時に、これらの大麻使用がより違法で強力な薬物使用のゲートウェイドラッグとなる事も理解しておかねばならない。大麻を軽視するのではなく、脱法・合法問わず薬理効果や副作用の検証も含め、法制度の見直しも適宜必要となってくるだろう。

タバコをやめ続け、10年以上経過している管理人にとっては、もし法律で認められたとしても使用する選択肢は出てこないのかもしれない。しかし、そこに積極的に向かおうとする人たちの心情には何らかのこだわりがあるようにも思えるからこそ当事者たちとの語らいは継続していきたい。



摂食障害の治療のための予備知識講座(家族編)

前回の記事【誰にもバレない、摂食障害の治し】に引き続き、摂食障害に関する疑問と周りの家族が気をつけておくべき3つのポイントについて取り上げる

◆家族が摂食障害になった時に絶対にやってはいけない3つのこと
過食嘔吐は無闇に止めちゃいけない
過剰に反応してはいけない
診察室に入ってはいけない

過食嘔吐は無闇に止めると悪化するので行動を制限する考えは捨てなければいけない。じゃあそのまま放っておくのかというとそうではない。家族は見守るしかできないことを心にとどめておく必要がある。見守る=放っておくではない。否定するのではなく、寄り添うことが最善策となる。摂食障害の当事者に淡々と寄り添い、手を差し伸べる準備を常にしておく。

過食嘔吐の回数が急激に増えたとしても家族は動じてはいけない。反対に過食嘔吐が急に止まったからといって一喜一憂してもいけない。家族や周囲の人間が相談につながることで本人が回復しやすくなると言われている。「本人のためにと思ってする説教やアドバイスにはほとんど効果がない」重要なのは、摂食障害患者自身の回復のタイミングを見逃さないこと。(ただし拒食に関しては命に関わるケースもあるため早期介入が必要)

③家族は、通院についていくだけで構わない。診察室には本人から「一緒に入ってほしい」と言われた時のみ入るぐらいがちょうどいい。主治医と何を話したかなど詮索する必要はない。摂食障害は単なる食の異常行動の問題ではない。親や身近な人間が摂食障害をコントロールしようとすればするほどコントロールを失う。食を契機とする家族全体の問題が関わっていることも多いため、家族がやるべきこととやってはいけないことを主治医や医療従事者と確認しておいたほうがいい。

まとめ
家族や周囲の人間は、当事者の異常とも言われる行動と向き合うのが怖いのだと思う。自身の無力感に耐え切れず、説教や行動規制をしてしまう家族も少なからず存在する。
重要なのは「家族の愛で病気は治らない」と受け入れることが大切になる。私は、摂食障害の家族の接し方ひとつで状況がガラリと変わったケースも見てきた。
家族が抱えすぎないことと摂食障害の悪循環から離れるためにも、まずは家族が周りに助けを求める経験を積み重ねるといい。
摂食障害の家族会の雰囲気を肌で感じることや、同じ境遇の人たちとの「共感や分かち合い」を家族が体験することに大きな意味がある。
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_eat_sub2.html

 





誰にもバレない、摂食障害の治し方

過食、拒食、過食嘔吐・・・
ひた隠しにして症状が悪化した時には強制入院となることが多い摂食障害の諸問題。

彼ら彼女らは、なぜそこまで食べることに固執し、体重計に映し出される数字にとらわれるのだろうか。

体重を減らした先に一体何があるのだろうか。
そして本当に満たしたかったものとは一体・・・

治療法

 この記事を読んでいる多くの人は、当事者であったり家族や知人に摂食障害の疑いのある人がいるのだろう。
治療法こそまさに一番知りたい部分にちがいない。

当事者と関わった経験のある人なら感じるであろう、彼女らの【とらわれ】には共通するものがある。

ストレスなのか、性格の問題なのか、異常なまでの食行動への固執をそばで見ることはこちらの精神がまいってしまう時すらある。SNSでは、過食するであろう食材をカゴいっぱいに買い込んだり、半額シールが貼られ、綺麗に並べられた食品をいったい我々はどれくらい見てきたことだろうか。当事者たちの苦しみと同時に、周囲の人間の負担もそこには見え隠れする。

また、過食とは逆で、ガリガリに痩せ細った身体の画像を載せ、まだ太っているという当事者のコメントには重篤な精神疾患を感じさせる一種の不気味さも感じられるだろう。しかし、その不気味さと同時に、骨と皮になろうが数字にとらわれ一喜一憂している生きづらさや苦しさが伝わるからこそ私はこの記事を書きたいと思った。摂食障害の問題が、一筋縄ではいかないことと、その根深さが伝わってくる。

単に食費がかさむだけの問題では済ませられない。
以前の記事でも取り上げた↓
AERAの摂食障害の記事がチューブ吐きにまで言及!!
の中でも書いたように、摂食障害特有の問題と回復についてさらに一歩踏み込んでこの記事では取り扱いたい。

治療法には大きく分けて3つが存在する。

①対人関係療法

これは【重要な他者との現在に焦点を当てた心理療法】である。一般の人にとっては、何のことだか理解しにくのも仕方ないであろう。しかし、精神科領域の働いたことのある人であれば聞いたことがある人も多いはずだろう。
摂食障害治療において最も代表的な治療法の一つがこれにあたる。
実際にトラブルがあるかないかは置いておき、個人内にある人間関係において、特定のキーパーソンとなる人との関係を見直すことや、問題の背景にある根深いものとの付き合い方を治療の中に取り込むのがこの短期精神療法の特徴でもある。

摂食障害において、薬物療法は対症療法になりうることが多く、当事者の一時的な現在の苦しさを緩和することはあるものの、治療が長期間にわたるケースが多いのも事実だ。病院や治療につながる倍以上の時間が回復するまでにかかるとも言われる摂食障害は、平均して数年単位の回復過程がこれまで示されてきた。

薬物療法と並行して行われる治療の第一選択として、この対人関係療法が大きな力を発揮する。ただ、摂食障害を専門に取り扱う精神科医は極めて少ないのが現実であり、患者が治療者を選べない問題もはらんでいるといえよう。

②認知行動療法

認知行動療法(Cognitive behavioral therapy:CBT)は,ここ15年ほどでよく耳にするようになった治療法のひとつだ。
認知という各々が持っている考え方、捉え方の【クセ】に焦点を当てながら、ストレスへの対処法だけでなく自分の捉え方や枠組みの見直しをする精神療法(心理療法)の一種だ。

元々はうつ病患者に対する治療を契機に、精神科だけにとどまらず幅広い分野での応用がなされてきた認知行動療法は、不安や抑うつなどの様々な症状に対してその認知の捉え方を再学習していく作業を繰り返していく。その中で誤った認知などには別の捉え方を模索したりするなど、現実的で具体的な対策を治療者と一緒に構築していく。

摂食障害だけでなく、不安障害を始め、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や統合失調症などへの精神疾患に効果があることが実証されてきている。
摂食障害では、特に自身のボディーイメージに関する認知だけでなく、他者との関わりの中で発生する誤った認知にも焦点づけながら、回復について対処法を考える作業を繰り返す。
あなたの中にある「べき思考」や「どうせ自分なんか」、「見捨てられ不安」、「とらわれ」を治療者と共に取り扱うのがこの治療の関わりとも言える。
例えば、「なぜそこまで食べたい気持ちが膨らむのか」、「満腹になることで得られるものとは」など、考え方の【クセ】にアクセスしながら回復を構築していく。

③ミーティングを通して感じられる共感とエンパワメント

回復に必要なものは自分自身の治療への取り組みとミーティングへの参加と言っても過言ではない。
それほどまでに問題を【共感】することは治療に大きな意味をもたらす。
話すことで癒される人もいれば、聴くことで共感を得られる人もいる。自分自身が回復し、回復モデルになっていくことで周りの摂食障害者にも力を与えてあげられる、それこそが役割(エンパワメント)になるのだと感じる。

ただし、摂食障害や依存問題を抱える人たちの中にも安全な枠を守りきれない人は少なからず存在する。精神科などでは主治医をはじめとした医療従事者(コ・メディカル)がチームとなり枠組みをつくっていく。だからこそ安全な枠組みの中で治療が進む。自助グループなどのミーティングには、メリットとデメリットが存在し「枠がブレてしまう」恐れがあることも理解しておかねばならない。

しかし、それを踏まえてもミーティングに参加することには意味がある。
なぜなら、世の中の摂食障害者に対する病識は極端に低く、「食欲をコントロールできないだけ」、「意志が弱い」、「別に細いんだからいいじゃん」などと心無い言葉を投げかけるだけ投げかけてくる。まさに二次被害といえよう。

だからこそ、治療には【同じ問題を抱えた仲間】が必要になってくる。そういった意味でSNSなどの摂食障害者同士のつながりはとても必要な関係性だと思う。枠がブレる問題をはらんでいるため専門家などが介入すればもっと良いと思うが、自らの力で摂食障害に立ち向かう彼女らは頭が下がる。

まとめ

タイトルにもあるとおり「誰にもバレない、摂食障害の治し方」には少しカラクリがある。それは【ちゃんとした専門家を頼ること】が一番の近道なのかもしれない。

専門家を頼ることや身を委ねることは大事である一方で、依存先が摂食障害(食べ物)から人になるだけでは根本的な解決はできないのではないかとよく感じる。
摂食障害に関する知識がなく、安易に治そうとする当事者たちは、相手が全てを解決してくれるという幻想を持っている人が多いのではないかと感じる。(私見)

頼ることは大切であるが、治療する主体は自分にあることを忘れないことも大切であり、また、回復していった彼女らはそのバランスを心得ていた人たちが多かった。

 

次回以降の目次
◆摂食障害の家族を持つ家族が絶対にしちゃいけないこと
◆なぜ過食嘔吐は止めちゃいけないのか?
◆実は、家族が手放さなきゃいけないことがある