日本における大麻の着地点はどこなのか
ゆっくりと大麻について一緒に考えていこう。
まず,大麻はアサ科の植物だということ。つまり自然界に自生しているものであり,これがいわゆる大麻草と言われるものだ。そして葉などを乾燥させたり,樹脂化させたりするものを総称して大麻またはマリファナという。
これらに含まれるテトラヒドロカンナビノール(THC)という化学物質が脳内のカンナビロイド受容体に結合することによって多幸感や幻覚作用をもたらす。
難しい話だが,このTHCは医療用にも使われることがあり,法の下で適切に使用すれば一定の効果があることを海外のエビデンスが示している。
高校化学を睡眠学習ですましてしまった私の経験では,
「あ~ね。あのややこしい化学式みたいなやつでしょ。あの結晶みたいな化学式にTHCがあって,それが脳に作用するという理解でいいんじゃないか。」
という程度の理解でこの話を進めていきたい。
法律的なところ
そもそも中枢神経系に作用するマリファナであるが,2006年に指定薬物制度による規制を皮切りに,2014年本格的に取締が始まった。包括指定制度の中で危険ドラッグなどは店舗販売もできなくなり,よりアンダーグラウンドに沈んでいったのかもしれない。しかし大麻による検挙数は年々微増しているのが現状で,その多くが海外から密輸されていることが圧倒的に多い。
大麻の生涯経験率
そもそも日本人の大麻の生涯経験率は1%程度で,米国の44.2%に比べると顕著に少ないことが分かる。そもそも日本と米国では,戦後の大麻の取り扱いにおいて別の道をたどった経緯がある。
それほど米国では他の先進国に比べても大麻に関する生涯経験率が高く,身近にある薬物であることには変わりない。オーストラリアなどでは,一部の州で個人使用目的での所持などは警察官に見つかっても警告で済まされることがある。それほど日本と海外では取り扱いが全く異なってくる。オランダを始め,ヨーロッパや米国では,マリファナなどの薬物使用の「非刑罰化」「非犯罪化」が進んでおり,マリファナ使用を公に認めるのではなく,あくまで個人使用に関しては取り締まらないというのが実際のところ。刑罰を与えるだけでは社会と刑務所の回転ドアになることをここ四半世紀ほど日本より早く学んできているのだろう。
身近なものになりうるのか
呼び方は数しれず,ガンジャ,葉っぱ,ハシシ,ハッシュ,チョコ,野菜,お茶,ブリブリ などなど
きっと身近なものと感じさせるために多くの造語が生み出されているのでしょうね。嫌煙社会の中で, 日本で大麻を合法化するにはかなりハードルが高くなるだろう。個人使用に限ってと言われても世間の目は相変わらず冷たいのが現実。治療的なエビデンスを日本でも確実にこなしていくことが実績につながるが,治療と刑罰に関する法律も未だ曖昧な部分が多い。
ゲートウェイドラッグとしてマリファナが若年層に根付く前に,多くの対策と治療につなげる道筋を作ることが直近の課題であろう。依存症に関する厳罰化が予後をさらに悪くするケースを考えると,司法的ではなく治療的な回復への取り組みの方が有用であると私自身は感じる。
だからといって手放しに合法化が良いとは思わない。多くの薬物に関する生涯経験率がここまで低いのは「ダメ,絶対」が有用に働いてきたたまものだと感じる。薬物依存に対する刷り込みによって,人々を薬物から遠ざけることに成功したかのように見えるこの施策であるが,そのほころびが見え出してきているようにも感じる。「ダメ,絶対。だけではダメ。」という更なる課題が見えてきたこの現状で当事者研究はもちろんのこと,エンパワーメントされている当事者たちの協力が必要となってくるだろう。そういった面で,回復者は身近なものになり,モノ自体は遠ざけていけることがwin-winの関係を築けていくことにつながるだろう。
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