このタイトルを何度読んでも、私の頭はまだ混乱してしまう。
「???」
◇違法薬物である大麻を合法化させようという動きなのか?
◇それとも、大麻を使用することに反対しているのか?
◇今の法律だと何がダメなのか?
一般の人ならば尚更混乱するのも無理はない。
実は、現在の法律では、大麻は「所持罪」によってでしか逮捕できない。つまり、もし、使用したとしてもモノを所持しなければ逮捕されないとも解釈できる。これは法律の抜け道だと何年も議論されている部分でもある。
そこで2021年に出てきたのが「使用罪」創設についてだ。
所持していなくとも、身体から反応が出れば「使用罪」で逮捕できるというのが言い分である。
これに反発するように現れたのが「大麻使用罪創設の反対運動」
◇「どうせ大麻使ってる奴らが反対してるんでしょ」
◇「反対するなんて、まともな連中じゃないことはわかる」
◇「使用してる奴らを野放しにするなんてどういうことだ」
と世論の反発が目に見える中で現れ集まったのは、弁護士や依存症専門家、福祉関係者、依存症家族の会の面々であった。
薬物依存症者たちを支援する人々が、この「使用罪反対」を唱えたことで大きな話題にもなった。
そもそも日本では、違法薬物の生涯使用率は諸外国に比べて圧倒的に低く4%程度である。アメリカやヨーロッパでは、生涯違法薬物使用率が40〜50%程度まで高まる一方で、日本の法整備は整っているかのように見えるが、実際は規制に力を入れるばかりで、支援の手はほとんど届いていないことが多い。
逮捕から起訴までのコストと当事者の社会復帰の困難さを考慮に入れれば、「使用罪」を作るようりもそれ以外の方法を模索する方が賢明だとも言われている。処罰よりも、社会復帰に向けた手立てを考えた方が、社会的に見ても良い選択肢ではないかとこれらの団体も述べている。
しかし誤解されやすい。
依存症関連の援助職についている私ですら混乱してしまう。
だからこそ、この運動に私は、違和感を感じる。使用罪反対を掲げるのもいいが、支援を継続的に続けていくならば、「大麻ダイバージョン※」なるものも試行していくべきではないかと感じた。
※ダイバージョンとは、逮捕・起訴という通常の刑事手続きとは別に、刑罰以外の方法を模索していく司法プロセスのこと。
まとめ
私が感じていることは、大麻を容認しろということではない。
まずは、議論の舞台に挙げ、支援策と並行しながらじっくり検討すべき問題だと捉えている。
きっと大麻使用罪の創設反対を唱えている人たちも「大麻使用を認めろ!」と言っているわけではないのだ。
「が」
どうしても情報がうまく伝わっていないのが現状だろう。
これは、大麻使用に限ったことではなく、多くの違法薬物に対して言えることでもあり「使用」=「犯罪者」のレッテル貼りは強力で拭うことがとても困難で社会復帰を阻害してしまうことが多い。
一般人であろと犯罪者であろうと治療につながる選択肢を閉じることはデメリットしかない。司法制度の起訴までの流れのもどかしさも十分理解できる部分もある。海外のドラッグコートのように本人が選択肢の中から自分自身の処遇を選べるようになれば何かが変わるかもしれない。
理由はどうあれ、違法薬物を使用して困っている人をさらに追い込む行為は、その人の人生だけでなく周りの人生にも大きな影響を与えてしまう。
だからこそ支援者側が声を上げたのだと思う。
https://news.yahoo.co.jp/byline/sonodahisashi/20210806-00251743