拒食症のジレンマ

最近お話しさせていただいてる思春期外来からつながったA子さん

「体重を戻さなきゃ退院できないことはわかってる。けど、どうせ退院したら食べなくなるのもわかってる。」

前回の身体測定時にA子さんは体に「おもり」を付け、測定をパスしようとしたが看護師に見つかり失敗した。
そんな様子をバツが悪そうに話してくれた。

「体重の重さの現実(リアル)を受け入れられない」
「インスタ見る度に病む」
「スタイルいい子がどんな薬を飲んでいるのか気になったり、拒食のサイクルがどうなのか、何を吸収して何カロリーで生活を維持しているのか、もう頭の中は拒食拒食拒食・・・」

過食や過食嘔吐さんとの面接は割とある方だが、拒食一本なクライエントは私にとっても久しい経験であり、ブログを書きたくなった。
※なお個人の特定を避けるためいくつかの事例を混ぜて書いています。

「配膳後の残飯を無心にかき込む姿や頑として食べ物を受け付けないその姿をしっかりと意味のあるものとして受け止めて理解してあげないといけないよ」と師にあたる人に過去に言われた。病院臨床が始まる前に頂いた素敵な言葉だ。

無理矢理体重を増やそうとしても結局は、なぜ受け付けないかを一緒に考えていかないと前には進めないものだと改めて感じさせられた。

結局は「自分が思う体重について本気で考えないと周りが何言ったって本人は変わらない」ってことだ。

私たちができることは、そのお手伝いだけ。

彼女らは「安心して話せる場」がない。
話したところで否定され続けてきた現実があるから。
せめて私は動かず、変わらず、しっかりと聞いてやろうと思う。
無力は承知であるが、この場が本人にとって居心地の良いものになるように。
いつか車椅子から降りて自力で歩けるようになるまで。

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