なぜ自粛明けはギャンブル依存症のリスクが高まるのか

緊急事態宣言などの外的要因によって、全国のギャンブル依存症者は、概ね戦場に出ることを止められているわけだが、こうした外的要因によってあたかも依存症はコロナと同様おさまったかのように見える。しかし、実はまったくそうではない。
緊急事態宣言が解除された今、この自粛明けこそ、依存症たる問題性が浮き彫りになってくる時期といえる。

ただ止まっているだけの依存は回復とは言えない?

一般の人々の認識では、一定の期間ギャンブルにいかなければ依存症というものは完治したものだと思いがちのようだ。しかし、実際のところ、そう簡単にギャンブル依存症は治らない。以前の記事でも書いたとおり↓↓↓
緊急事態宣言中の最中パチンコに行く奴はギャンブル依存症か否か問題

ギャンブル依存症の定義には、コントロールの障害がつきまとう。

「外出自粛でギャンブルに行ってないんだから、コントロールできてるじゃん」
と一見そう見えがちであるが、彼らにとって止めることとは行ける状況でやめていくことにある。

脳内の報酬を求める回路は、自粛によって強制的にシャットダウンさせられていると言ってもいいだろう。そう、自粛が明けるということは、まさに再起動がはじまったのだ。

意志の強さなどの問題ではなく、一度脳が依存状態になってしまうと、あとは引き金から離れ続けなければ回復はしていかない。彼らにとっての回復とはギャンブルにいける環境でやめ続けることだ。

あなたがもし、依存症ではないと思うのであれば、自粛明けから断ギャンブルしてみることをオススメする。行ける状況でいかないことを選択していく苦しさを感じた時、果たしてあなたはギャンブルにいかない選択肢を選べるであろうか。

日本には公的なギャンブルもあり、法律に認められた範囲で楽しめる遊びがたくさん存在する。この記事は、ギャンブルがいい悪いと言った単純な問題ではなく、依存する心について取り扱う。

依存症になっていないからと言って安心するのではなく、誰にでも依存症はなりうると思っておいた方がより良い生き方を選択することにもつながるだろう。

依存症は、その日一日回復に力を注ぐことが治療でもあり、今日一日まずギャンブルしないことを継続していくことが回復といえる。

 




躁うつ病のサインを見逃すな!双極性障害の治療と実際

「人をまくしたて、自分が決定したことになんら確信が持てずともそれを曲げず、罵倒したと思えば自分のペースで仲直りしたと勘違いし、関係を築いては自ら破壊し、いったいあの人は何がしたかったのだろうか。いつも何かに追われているようで、止まることに恐怖すら感じている様子だった。」

隔離室の強化ガラスを挟んで、私と双極性障害(以下躁うつ病)者との出会いはそんな感じから始まりました。当時の私が感じた病気と回復についてのお話。

そもそも躁うつ病って

気分・感情が高まったり、逆に気分がズンと沈んだりと感情の振れ幅が大きく、躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気のこと。

特に激しい双極性を持つのがI型で、周りから見ても一目瞭然に活動的になる。誰かれかまわず話しかけたり、元気すぎるという理由では納まりがつかないぐらいの病的な状態がそれにあたる。睡眠時間を惜しんで何かに没頭したり、ひとつのこだわりに固執し、金銭感覚が狂う人もなかにはいる。

周りの意見など聞く耳を持たなくなり、仕事などもその場の気分・感情で辞めることだってある。躁うつ病を病気と捉えられず、自分の性格の問題と決めつけたりするなど、多くの物事に対して視野狭窄している状態。

 

双極性II型は、軽い躁状態とも言われ、数週間〜数ヶ月をひとつの流れとして、躁とうつが波のように訪れる状態の人も多い。うつ病的な気持ちの揺れ動きも主な症状の一つであり、何もしたくない軽いゆううつな気分から、布団から立ち上がれないほどの気持ちの落ち込みや、食欲低下、興味関心がなくなることも症状のひとつだ。I型に比べて、躁のエピソードよりもうつ感情が強く出る人も多く、どちらの精神疾患も中学生から中年期まで幅広い年齢で発症する病気といえる。

強化ガラス越しのあの人は・・・

怒りの感情はきっと誰に向けてでもよかったのだと思う。誰よりも偉くなったような口振りで話すあの人は、こちらを攻撃することで自分を保ち、抑えていたのかもしれない。きっと何度も再発を繰り返す中で、多くのものを失ったり壊したりしてきたのだろう。治療につながり回復に向かおうとしているあの人に、当時の私はネガティブな感情しか向けられなかった。

自己中心的に振る舞い、人を罵倒し、話題を奪い、多弁でこちらの思いなど受け止める気もなかったその人を外来の待合室で一度見かけた。

頭を伏せ、一度も顔をあげる事もなく、家族に手を引かれて歩いていたあの人の姿に、強化ガラス越しにみた面影は一つもなかった。

あの人の躁状態はきっと病気がそうさせていたのだろうと思えた瞬間だった。
思いつきで自傷行為や自殺企図を何度も繰り返していたのもきっと病気がそうさせていたに違いない。

躁うつ病の治療とは

躁うつ病は再発しやすい病気だといえる。
寛解(病気の状態がほぼ消失し、コントロールできている状態)に至るまでには長期的な治療が必要になるし、そもそも
正確な診断を受けるまでに数年以上かかる精神疾患ともいえる。

早期発見が重要な課題になると同時に、家族の協力をいかに治療につなげるかが鍵でもある。しかし、躁うつ病患者の中には、すでに家庭関係が壊れている人たちや自ら家族との縁を切っていった人も多く、家族以外のパートナーなどの協力者がその役割を担っている部分もある。

また、躁うつ病の治療には、薬物療法や精神療法が選択されやすい。
適切な治療を継続していけば、症状をある程度抑えて普通の生活もできる。一人で回復していくことには限界があるのも事実で、治療には大切なポイントが3つある。
病識を持つこと(病気に関する理解を深めること)
治療に参加し続けること
躁うつのサインに気づくこと

病識を持つこと
病識を持つことは、どの精神疾患においても大切なことである。
しかし、誰しも「あなたは病気です」と言われていい気持ちにはなれない。とはいえ、躁うつ病は、本人が自覚しにくい病気でもあり、「行動化」が顕著で、逆に言えば周りから見ると発見しやすい病気ともいえる。当事者は精神疾患の再発に気付きにくく、周囲からの声かけが回復へ足掛かりとなる。

治療に参加し続けること
躁うつ病患者の中には、自己判断で通院をやめてしまう人もいる。うつ期に入れば「行動化」は治ることから、治療につながる人も多い。躁状態の期間は、ブレーキが壊れた車のように、壁に激突するまで止まれないほどの強引さを兼ね備えている。自己判断で処方薬を止めたり、勝手に調整したりしないためにも治療への参加が回復には必要になる。

躁うつのサインに気付くこと
活動的になり、夜も寝ないで平気な状態になる。異常なまでに話し続けたり、思いつきのアイデアを誇大化させ、根拠のない自信に満ち溢れたり、性的に奔放になる人もいるようだ。要するに、躁うつ病は「行動化」しやすい病気でもある。特に躁状態に入る前には、個別の特徴的な行動が出てきやすいようで、主治医やケースワーカーなどとも症状をまとめておくと良い。

まとめ

躁うつ病は、何より医師による診断が大切だと個人的に感じる。
高まりすぎた感情に対しては、抑制的な薬物療法を用いることだってあるだろう。反対に、落ちすぎたうつ感情には、精神活動を活性化させるような対症療法が精神科にはある。

注意しておかなければいけないことは、うつ病に用いられる抗うつ薬を躁状態の患者に投与すると「さらなる躁を引き起こしてしまう」ような悪い結果にならないように診断と主治医の考えを理解しておく必要がる。

だからこそ、主治医との定期的な診察は、回復において大きなウエイトがおかれる。再発の兆候を見逃さないためにも早めの精神科への受診を勧めたい。

躁うつ病のサインを見逃すな!双極性障害の治療と実際。




ADHD講座!大人のあなたもきっと当てはまる!診断と特徴

「あれ、自分って発達障害じゃないのかな?」
「どうも周りとうまくやっていけない」
誰しも一度は思ったことがあるのではないだろうか。
特に今回は、発達障害の中でも表立って目立ちやすいADHDについて取り上げる。

そもそもADHDとは・・・

注意欠陥多動性障害(Attention deficit hyperactivity disorder:以下ADHD)とは、病気ではない。あなたが持って生まれた特性(キャラクターや人格そのもの)といった方が理解しやすいかもしれない。心理領域では、障害として幅広く説明されるものの、多くの人々が多かれ少なかれその特性を持っている。そしてADHDには、主に2つのタイプが存在する。
注意欠陥タイプ
人の話をじっくり聞くことができず
、注意散漫になったり、目移りして落ち着きがなく、うっかりミスが重なったり、人との約束などを覚えられない(忘れてしまう)など、とにかくケアレスミスが多い注意欠陥タイプ。
多動タイプ
注意集中力がなく、いつも忙しそうにしていたり落ち着きがない。思ったことを口にしやすく、周りの流れをぶった切ってまで自分の主張を述べたり、待つことが苦手で、人と深い関係に発展する前に関係悪化してしまうこともある。行動として現れるだけでなく、ソワソワと精神的に何かしてないと落ち着かない人もここに分類されるかもしれない。

さて、あなたはどっちのタイプ?

もちろん注意欠陥、多動どちらも持っている人もいるだろう。私自身は、注意欠陥の特性がやや強く、ひとつのことに集中して取り組むが、気が散りやすくその維持に悩まされることが多い。マイナスに捉えやすいこの発達問題であるが、自分自身の特性を知ることができれば、それもまた強力な力となるだろう。

 

ネットには様々な診断ツールがあり、あなたをADHDであることを後押ししてくる。
もう一度いうが、ADHDは病気ではない
ただ、その中でも「頻度と程度」には注目しながらこの障害には付き合っていく必要がある。
誰しも物を無くすし、ケアレスミスだってしてしまう。相手の話よりも自分のことを話したいし、自分中心で世界が回っていると感じていた方がとても気持ちがよく生きている実感を感じるだろう。

しかし、ADHDの人々は、その程度が顕著に現れやすい。そして、そのバランス感覚がうまくつかめない人も多いと個人的に感じる。

障害か障害ではないかを明確に区別することは難しいが、「理解しているにも関わらず、同じ失敗を繰り返してしまう」時は障害の疑いが濃くなるだろう。脳の機能的な問題も関わっていることも多く、本人に悪気はなくても障害によって当たり前のことができなくなっている状態ともいえる。

しかし、たとえ診断されたとしても発達検査では、自身の特徴とその対策について教えてくれるので安心していい。日本の児童精神科等では、WISC-Ⅳ新版K式発達検査が主に使われる。また、成人であればWAIS-ⅢやWAIS-Ⅳなどがそれにあたる。

きっとこの記事にたどり着いた人なら、自身の発達的な部分に対して多少なりとも違和感を感じている人も多いことだろう。仮に、発達障害の診断をすでに受けている人がいたとしても安心していい。

自身の特性を知り、うまく付き合っていく方策さえ掴めれば、人生は今以上に有意義になる。一番心配な人は、自分が何に困っているか分からないけれど、いつも自分の周りではいろんな出来事が発生していて疲弊している人、だと感じる。困っている当事者は、自分の状態が見えにくくなってしまうのがこの障害の特徴でもある。

診断によってカテゴリーされ、心ない言葉や差別を受ける心配もきっとあるだろうが、発達検査を受けることで自身の特性が見えてくる。そういう意味では、発達検査を受けるメリットは大きいといえる。

発達障害は一種の才能であるとも捉えられる。芸能人の中にも発達障害を公表している人が多数おり、能力を生かした仕事ややりがいを見つける上でも自己理解を深めていくことはあなた自身の視野を広げることにつながるだろう。

↓ADHDを公表した芸能人まとめ↓(外部リンク)
https://badvugum.com/youtuber/adhd-yumeijin

↓東京発達障害者支援センター(TOSCA)(外部リンク)
http://www.tosca-net.com/soudan/

↓生駒医院 発達障害とIQ検査とワーキングメモリー(外部リンク)
http://www.ikomaiin.com/index.php?QBlog-20150719-1




ゆりにゃとタイチョーから見えてくる自傷行為とタトゥーとボディーモディーフィケーション

ボディーモディフィケーション(身体改造)と自傷行為、タトゥー、刺青、ピアスそれらの表現方法には、やり方手法は異なれど、身体に傷をつけるという点で共通する部分があり、自己表現のひとつという範囲から周囲に大きな影響を与えるほどのインパクトを持ったものまで様々ある。

Twitter等のSNSでは、検索すれば簡単にその手の人たちともつながることができる。「蛇にピアス」(金原ひとみ,集英社)で題材にされた舌先を裂く「スプリットタン」は当時の私にも大きな衝撃を与えた。
とはいえ私自身は、ピアスなども開けたことがなく、また積極的に開けるに至る行動をとってこなかった。「痛い、怖い」はもちろんあるが、「一度手を出すときっと止まらなくなる」といった方が合っている。
自分を表現する手段や理想を形にしようとする彼ら彼女らの姿はとても魅力的に感じる。

ゆりにゃへの愛はタトゥーを入れることで証明できるのか

YouTubeやTwitterを見ていると、トレンド蘭からその当事者のTwitterを遡り、ことの経緯を調べることがある。また、まとめサイト情報を見ながらなぜこの問題が今起こり、バズっているのかをよく考える。今回は時事ネタを交えて自傷行為について深掘りしたい。

←要約すると、有名女性インフルエンサーであるゆりにゃ@yurinya1128さんに気持ちを寄せる斉藤タイチョー@saitou_taichouが、本人への真剣な愛なのか、気をひきたいのかは定かではないが、「入れ墨、彫れよ!!」のLINEの返信をまともに受け、指に刺青を入れる行動に出た。
リプ欄には「黒歴史確定だろこれはwww」や「どうせ後から後悔するよ」、「一時の気の迷い」などの厳しい言葉が多く、その行動に恐怖すら感じるフォロワーも多くいたという。
唯一、
彼を評価できる部分があるとすれば、「行動力」だと思う。しかし、その行動も浅はかでその真剣さも外で見ている私には全くといっていいほど伝わってこなかった。

https://twitter.com/saitou_taichou/status/1255816115625750529
↑↑Twitter詳しく見たい人はご自由に↑↑


この経緯から見ても・・・

この男性の発言や安直な行動から伝わってくるように、振り向かせるための道具として自傷(入れ墨)が用いられたことがわかる。これはタトゥーや入れ墨が好きな私からすると怒り心頭な案件である。この男性は、以前にも同じ女性に気をひくためかリストカットの画像を添えたLINEを送っていた。

相手の言うことに従順になることが深い愛情と勘違いしているのかもしれない。たとえ相手がその場の気分で言い放った「入れ墨、彫れよ!!」の言葉があったとしても、わずか9時間後に後先考えず行動してしまう人間に長いスパンでの計画性はないのだろう。

過去の関連記事↓↓

間違って自死に至る病~リストカッターケンイチ

 

入れ墨やタトゥーが悪いのではない。これをすれば相手が受け入れてくれるだろうという「甘え」に入れ墨が使われたことがたまらなく不快だった。文化的に認められるようになりつつある自傷行為」の価値観がまた地に落とされた感じがした。

20年前の日本では、ピアスやタトゥーそれ自体が非行や自傷の象徴であった。まさにこの問題を通してタイムスリップしたような気持ちになり、この男性の恋路がどうなろうと関係ないが、ネガティブなニュースとして偏向報道されないかが心配になった。