摂食障害になる子ってどんな子?

不合理とも言える食行動を繰り返しながらも、その行為に依存し、命を危機的な状況にまで自ら追い込んでいる摂食障害者には、なにか共通するものがあるのではないか。また、摂食障害になる子の特徴には、どういう背景が隠されているのか知りたくありませんか?

 

性格と摂食障害

多くの摂食障害や依存に関する論文では、ある程度の通説と呼ばれるものがあります。そしてその特徴のひとつとして、「昔から手のかからなかった真面目な子」が挙げられます。なぜ真面目なのに病気になっていくのか。そもそも、真面目な性格と病気って関係あるのか。などと感じる人も多いでしょう。ここで書かれている真面目さにはどのような意味が含まれているのでしょうか。今回は、摂食障害になりやすい人の特徴と、その原因について触れていくことになるでしょう。
食べることで一体何を満たしていたのか、果たして本当に満たしたかったのは食欲なのか。食べ続けることは簡単でもあり苦しいことでもある当事者に共通する課題とは何なのか。
異常な食行動に固執してしまう背景にはどんな機能が働いていたのかに迫ります。

 

どういう過程で摂食障害が展開するのか

主に摂食障害は、10代~20代前半の女性に発症することが多く、男性の10倍ほどの発症率が示されている。今でこそSNSなどで公言する人もいるが、昔は今以上に隠れてこっそり生き抜いていたのだろう。
過食症を例に挙げると、その食べる量は通常の買い物とは思えないほどの量を購入する傾向がある。ひとつの家族が菓子パンなどを購入する際、食パンや人数分の菓子パンを買うのが一般的なものだとしたら、過食症患者が買う菓子パンの量はその何倍にもなる。もちろん人それぞれ過食の量に差はあるものの、買い物かごいっぱいの菓子パンは通常ではありえない違和感を感じる。まさかこの量を一人で、また1食で食べてしまうなどと誰も想像できない。

 

当事者たちは病識を持っているものが多く、知的にもやや高い印象を私個人は持っている。病識(自分が病気であるという認識)をもち、問題を大きくさせないように努力を重ねながら生活している人たちを私は知っている。そして、自分の食べる量が異常であるという認識も充分持っている人が多い。

もにも関わらず、発症初期段階から精神科に関わる割合は少ない。
以前取り上げた記事にも、過食嘔吐に共通する【他人を頼れない病い】が根底にあるのかもしれない。
カショオ女子 ~摂食障害にみられる関係依存の問題

Colla-Tein(コラテイン)
女性のための新しいプロテイン 【プロテイン × コラーゲン】

食欲には抗えない

過食のケースについて考察すれば、彼らの食欲は一種の囚われを感じさせるほどの勢いがある。
詰め込むまさにそんな感じだ。
ひとつひとつの食材を味わって食べているようにも感じるが、むしろ何か感じることを鈍麻させるかのごとく食べ物を次から次へと胃に押し込める。食欲のスイッチが一度入ってしまえば止まらなくなる。自分の意志ではもうどうにもならないほど『食べたい』思いと『本当はもう食べたくない』というアンビバレント(両価的)な感情に支配され、スーパーなどに向かってしまうのだ。

摂食障害者の中には、『どうせ吐くから』と言って万引きする者もいるが、物事の善悪を理解している人や社会性に優れている人も圧倒的に多い。
しかし、食費が馬鹿にならないのも確かで、当人たちはスーパーなどの半額の時間帯を考慮に入れながら食べる活動を維持させる。

 

食べることで満たされるもの


感情に鈍感な人というよりは、感情を表に出さない人が多いのではないだろうか。多くの問題を自分だけで抱え込み、誰にも頼らず、甘えず、本当は助けを求めたい感情を食べ物で押し込めているのではないだろうか。
まさに、『真面目』そのもの。
本来違った形として出てきて欲しいこの真面目さが、食欲とつながってしまっていることこそが問題をより複雑化させる。
食欲が満たされると安心感や不安な気持ちが軽くなる。一時的であろうが、問題を棚上げできるという効果こそが当人たちの求めていることだったりする。

つまり、癒してもらうためには過食することが必要だったということになる。依存症問題に出てくる『自己治療仮説』がまさにこれにも当てはまるだろう。
過食を維持できているからこそ生きていられるということ。

病気を理解していない周囲の人間にとっては、ただ食べて吐いているだけに感じるだろうが、この行動にも重要な意味が隠されている。

食べることを止めることは死を意味すること

だからこそ、摂食障害者の行動は無理に止めてはいけない。
説得したり、言いくるめたところでその行動は止まらない。
過食するからこそ生きていられる患者がいるということを理解しておかなければ、当人を助けるつもりで言った言葉が鋭利な刃物となり、寿命をさらに縮めることにつながる。

本来抱えていた食べたくなるような感情に向き合う時間を主治医などとしっかり話していくことこそが治療なのではないか。
処方薬を出されるだけの、3分診療になっていないだろうか。

本来真面目でいなくてはいけなかった問題には着手できているのだろうか。

自分の問題が維持していることの意味や人に頼れない背景についても語られているのだろうか。

処方薬も大事であるが、精神科だからこそできる治療につながっているかを再確認したほうがいい。

Colla-Tein(コラテイン)
女性のための新しいプロテイン 【プロテイン × コラーゲン】





コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です